YouTube(ユーチューブ)ショートは新規参入の障壁が低いため、サービス開始以来毎年投稿数が伸びています。さらに2023年2月から収益化が可能となり、多くのYouTuberや企業が新しいマーケティング方法として活用しているほか、お金になる趣味として始める人も増えています。そのため、収益化の仕組みや実際にどのくらい稼げるのか気になっている方が多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、YouTubeショート動画の収益化の仕組みや具体的な収入の目安、動画を収益化するためのヒントを詳細に解説します。
YouTubeショートとは
YouTubeショートは、YouTube内で最長3分間までの動画を手軽に視聴・投稿できる動画フォーマットです。通常の動画とは異なり、スマートフォンに最適化された縦型の画面サイズが特徴です。従来は60秒以内の動画しか投稿できませんでしたが、2024年10月15日からは最長3分間に延長されました。これは多くのクリエイターから要望されていた機能強化で、さらに臨場感と柔軟性の高い投稿が可能になったとされています。
YouTubeショート用の動画は、YouTubeアプリの機能を使って撮影からキャプション・音楽の追加、そして投稿までを一貫して行えるため、動画編集の経験がない人でも簡単にオリジナルの動画を作成して投稿することができます。
また、YouTubeショート用に撮影した動画はインスタのストーリーやTikTokなどの他のSNSにも簡単に流用できるのも大きな魅力の一つです。そのため、スマホ副業として気軽に動画投稿を始めることができます。
YouTubeショート動画と通常動画の収益の違い
通常のYouTube動画の収益は、1回再生ごとおおよそ0.05円から0.7円といわれているのに対し、YouTubeショート動画では0.003円から0.01円程度となっています。ただし、これらはあくまでも目安の数値で、実際は動画のジャンルや再生された時期、表示される広告の種類や表示方法などに応じて金額が変動しています。
同じ再生回数で比べると、通常のYouTube動画の方が収益は大きくなりそうですが、最終的な収益の差はそれだけで単純に判断することはできません。例えばYouTubeショートは、視聴者がスワイプするだけでサクサク次の動画へと移行できる手軽さから、通常の動画よりも再生回数を増やしやすいという特性があります。さらに、アプリが提供する機能を利用すれば動画編集ソフトを使用しなくても簡単に動画編集が可能なため、通常の動画と比べて動画公開までの労力が少ないというメリットも存在します。そのため、通常の動画投稿とショート動画のどちらかに力を入れたい場合は、これらの要素を総合的に考慮する必要があります。
YouTubeショート動画の収益が発生する仕組み
YouTubeショートでは、動画の再生前後に表示される広告を視聴することで発生する広告収益を集計し、調整したのちにクリエイターに分配するという仕組みを採用しています。
具体的な仕組みは、以下の4つのステップでより詳しく説明します。
1. 広告収益が合算される
すべてのショート動画から得られる広告収益は、いったん「クリエイタープール」と呼ばれる1つの箇所に集められます。クリエイタープールとは、収益を得る権利を持つ全クリエイターに支払われる報酬の合計額のことを指します。
2. 音楽ライセンス費用が差し引かれる
広告収益がクリエイタープールに集められる際、音楽を使用している動画からは、その動画の広告収益から以下のように費用が差し引かれます。
- 音楽を使用していない場合:差し引かれる金額はなし
- 音楽を1曲使用した場合:広告収益の半分
- 音楽を2曲使用した場合:広告収益3分の2
3. クリエイタープールから報酬が割り当てられる
クリエイタープールにまとめられた広告収益は、収益化を行っているクリエイターたちに分配されます。自分が受け取る収益は、収益化対象となっているショート動画の、国ごとの月間視聴回数に占める割合によって決定されます。例えば、自分がアップロードした動画の視聴回数が、その月の全ショート動画の総視聴回数の3%を占めていたとしたら、クリエイタープールから3%の割合で収益が割り当てられます。
4. 収益分配率を適用された金額がクリエイターに支払われる
最後に、クリエイタープールから割り当てられた収益に45%という収益分配率が適用されます。つまり、1万円の収益が割り当てられた場合は、4,500円が最終的に自分の手元に入る収益となります。
YouTubeショート動画収益化の条件
YouTubeのショート動画で広告収益を得るためには、いくつかの条件を満たす必要があります。まず、ショート動画クリエイターはYouTubeパートナープログラムへの参加が必要です。YouTubeパートナープログラムへ参加するためには、以下の条件を満たさなければなりません。
- チャンネル登録者1,000人以上
- 有効なショート動画の再生回数が直近の90日以内で1,000万回以上、または公開動画の総再生時間が直近12ヵ月間で4,000時間以上
そのほか、クリエイターはYouTubeの収益化ポリシーや広告掲載に適したコンテンツのガイドラインを遵守している必要があります。
また、アップロードするショート動画はオリジナルのコンテンツであることが求められます。ただし、他人のコンテンツを借用する場合でも、大幅な変更を加えることで視聴者が元の動画と新たな動画の間に「有意義な違い」を認められる場合は、コンテンツの再利用が認められています。
なお、YouTubeショート動画の広告収益分配を受けるには、「ショート動画収益化モジュール」への同意が必要です。これは、ショート動画の間に表示される広告や、YouTube Premiumから収益を得るためのもので、同意前の視聴回数は、広告収益分配の対象とはならないため注意が必要です。
「ショート動画収益化モジュール」は、YouTube Studio の [収益化] セクションから同意できます。
YouTubeショートの収入目安例
YouTubeショート動画の広告収益は1再生あたり0.003円から0.01円と言われています。
実際の収益は動画のジャンルなどのさまざまな要因によって異なりますが、ここでは仮に、以下の条件下で収益がいくらになるのか見ていきましょう。
全てのYouTubeショート動画の月間総視聴回数:10億回
クリエイタープールに集められたYouTubeショート動画の収益額:1,000万円
投稿した月間ショート動画の視聴回数:100万回
上記の場合の収益額は以下のように計算されます。
- 全体の総視聴回数に対する自分のチャンネルの動画の視聴回数の割合:100万回 ÷ 10億回=0.001(0.1%)
- クリエイタープールから割り当てられる報酬額:1,000万円×0.001(0.1%)=1万円
- 割り当てられた報酬額に収益分配率(45%)を適用:1万円×0.45(45%)=4,500円
よって、受け取れる収益額の合計は4,500円、1再生当たりの収益は0.0045円となります。
YouTubeショート動画を収益化するコツ
動画のテーマとターゲットを定める
YouTubeショート動画を収益化するためには、動画を見てくれる視聴者と視聴回数を増やすことが非常に大切です。まずは動画のテーマとターゲットとなる視聴者を定め、チャンネル全体でスタイルやトーンに統一感を出しましょう。そうすることで、ターゲット層に注目される機会を増やし、チャンネル登録者数の増加や全体の視聴回数の向上が期待できます。また、動画のジャンルを統一させることでYouTubeのアルゴリズム対策にもなります。
年齢層や趣味・興味、職業など、視聴者の特性などのペルソナを設定し、それらのターゲットに最適化されたコンテンツを作成するのが効果的です。例えば、ゲーム好きの10代〜20代向けに動画を作る場合、人気のゲームを取り上げたり、最新のゲームトレンドについて話したりといったアプローチが考えられます。また、チャンネルのトップ画面に表示されるサムネイルをターゲットの好みにあった魅力的なデザインで統一させることも効果的です。画像編集ソフトを使用すれば、多くの種類のテンプレートが使用できるので初心者でも簡単にサムネイルを作成することができます。
動画の冒頭で視聴者を引きつける
YouTubeショート動画では、視聴者が動画をスワイプするだけで簡単に次の動画を見ることができるため、視聴者の離脱を避けるために冒頭の数秒で視聴者の興味を引きつける必要があります。そのため、冒頭で質問を投げかける、衝撃的な情報を与える、これから何が起こるのか予告をするなど、興味を引く工夫が必要です。視聴者を最後まで引き付けるために、動画の目的がすぐにわかるテキストや期待感を煽る文言を用いるのも効果的です。
テンポの良い展開を意識する
視聴者を離脱させないために、テンポとリズムが良い動画を作るようにしましょう。ショート動画は視聴者が早送りすることができないため、情報は短く、簡潔に伝えつつ、飽きさせずにテンポ良く進行することが大切です。細かい場面切り替えやテンポの良い音楽を利用したり、結末を引っ張りすぎないように注意したりするなどの工夫をすることで、視聴者が画面をスワイプして次の動画へと進んでしまうのを防げます。
YouTubeショート動画は収益化が難しい?
ショート動画の収益は通常の動画と比べて低く、さらにYouTubeパートナープログラムへの参加条件をクリアするのは簡単ではないため、YouTubeショート動画の収益化は一般的に難易度が高いといえます。
ただし、YouTubeには日本だけでも約8,000万人も利用者がいる上にショート動画は多くの人に視聴してもらいやすいという特性をもっているため、一度バズれば爆発的に視聴者数とチャンネル登録者数を増やして収益を拡大させることも可能でしょう。また、登録者数の増加に合わせて有料メンバーシップやグッズ販売を始めるなど、再生数や広告以外での収益も生み出すことで、ビジネスとして成功しやすくなります。
YouTubeショート動画の収益化を実現しよう
YouTubeショート動画は、その手軽さが魅力で、誰でも簡単に撮影してアップロードできます。
一方で、ショート動画を含め、YouTubeを収益化させるには、定められた視聴回数や再生時間などの条件をクリアしなくてはならず、これには一定の努力と時間を必要とします。しかし、ショート動画の特性を理解し、視聴者に求められる動画を作り続けることで、動画マーケティングとして成功させることは十分に可能です。ショート動画の制作を検討しているなら、今すぐにでも収益化への一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
YouTubeショートについてよくある質問
YouTubeショートで著作権付き音楽を使用しても収益は得られる?
著作権付き音楽を使用しても収益は得られますが、使用する楽曲の数によってクリエイタープールに割り当てられる金額が変わります。
例:
ショート動画に楽曲を1曲使用した場合=広告収益の半分が音楽ライセンス費用として差し引かれる
ショート動画に楽曲を2曲使用した場合=広告収益の3分の2が音楽ライセンス費用として差し引かれる
ですが最終的に自分が受け取れる収益は、音楽の使用の有無に関わらず、月ごとのクリエイタープールの金額と、その月のショート動画全体の視聴回数に対して自身の動画がどのくらいの割合で再生されているのかに基づいて計算されます。
YouTubeショート動画の収益の単価はいくら?
YouTubeショート動画の収益の単価は0.003円から0.01円程度といわれています。ただし、この数値はあくまでも目安で、実際の収益の計算方法は「YouTubeショート動画の収益が発生する仕組み」にある通りです。
YouTubeショートで収益を得るのに音楽を使ったら著作権はどうなる?
公式のオーディオライブラリから著作権保護された音楽を使えば、クリエイターは著作権を心配することなく動画を制作できます。ただし、オーディオライブラリ以外の曲をショート動画で使用すると著作権問題が生じ、削除通知の対象になる可能性があるため注意が必要です。
YouTubeのショート動画のみで収益は得られる?
YouTubeのショート動画のみで収益を得ることは可能です。なお収益化するためには、以下の条件をクリアしてYouTubeパートナープログラムに参加する必要があります。
- チャンネル登録者1,000人以上
- 有効なショート動画の視聴回数が直近の90日以内に置換で1,000万回以上、または公開動画の総再生時間が直近12ヵ月間で4,000時間以上
YouTubeショートでもスーパーサンクスは利用できる?
YouTubeショート動画でもスーパーサンクスを利用できます。スーパーサンクスとはYouTubeの投げ銭機能のことで、クリエイターはスーパーサンクスを通して視聴者から手数料を引いた金額を直接得ることができます。ただし、スーパーサンクスを利用するためにはYouTubeパートナープログラムに参加していることが前提となります。
文:Ryotetsu