ECサイトを運営するにあたって、顧客のニーズの把握は欠かせないポイントです。Googleトレンドを使うと、マーケティングや商品選定で重要となる消費者のニーズを把握することができます。また、無料で簡単に利用できるため、初めて使用する人でもストレスなく使えるのも特徴です。この記事では、Googleトレンドの使い方や使用する際のポイントについて解説しました。
Googleトレンドとは
Googleトレンドは、特定のキーワードの検索需要をリアルタイムで分析できるGoogleが提供する無料ツールです。キーワードがGoogleで検索された頻度の推移をグラフで確認できるため、消費者の関心やニーズを把握するのに活用できます。アカウント登録が不要なうえ、シンプルな操作画面により誰でも簡単に利用できるのが特徴です。期間設定や地域の絞り込みも可能なので、季節性のある流行や注目のトピックも見つけやすいでしょう。
また、急上昇ワードやチェックしたいキーワードの動向をメールで通知する機能もあります。
Googleキーワードプランナーとの違い
Googleキーワードプランナーは、月間検索数や広告のクリック単価・競合の強さなどの具体的な数値を提供するツールです。Google広告のアカウントが必要で、主にSEOやリスティング広告に活用され、広告予算の検討や関連キーワードの選定に効果的です。
一方、Googleトレンドは、具体的なGoogleでの検索数ではなくリアルタイムのトレンドを把握するのに活用され、消費者のニーズの変化を俯瞰的に捉えるのに適しています。
Googleトレンドの使い方
ECサイトを運営する際にGoogleトレンドを活用することで、顧客のニーズに合った商品やサービスを知ることができます。ネットショップを開業する際の商品選定に効果的なGoogleトレンドの使い方について解説します。
ニーズが高くなっている商品を調べる
現在や過去のトレンドキーワードをリサーチすることで、消費者のニーズの変化を把握できます。最大5つのキーワードを同時に比較することが可能で、それぞれの注目度をグラフで確認できるため、需要の高まっている商品や注目度が下がっている商品を把握しやすく、仕入れや発注の参考にすることができます。
また、Googleトレンドでニーズを調べることで、季節性のある商品や話題のイベントにあわせた需要などにも素早く対応できるため、競合よりも早いタイミングで商品を仕入れたり在庫数を増やしたりすることができます。
商品と関連するトピックやキーワードを調べる
Googleトレンドでは、商品に関連する重要なトピックやキーワードを調べることが可能です。たとえば「スニーカー」と検索した場合、「ランニング」が関連トピックとして現れるので、消費者がランニング用のスニーカーに関心があると把握できます。
また、急上昇ワードから関連する商品のニーズを探ることも可能です。たとえば、「夏フェス」がトレンドになった場合、フェス用のファッションアイテムとして「サングラス」や「日焼け止め」の注目度が高まることが予想できます。このように、トレンドに上がっているキーワードから連想される商品まで思考を広げることで、消費者のニーズに合った商品やサービスをいち早く見つけることができるでしょう。
類似する表現のなかで最も検索されているキーワードを探す
Googleトレンドでは、検索用語の比較ができるため、ターゲットとなる消費者が検索に使用する頻度の高いキーワードを見つけられます。同一の商品を表す言葉であっても検索頻度は異なるので、使用頻度の高いキーワードが見つかれば、広告やSNS投稿の内容をブラッシュアップしやすいでしょう。
たとえば、ワイヤレスイヤホンが欲しい消費者は、「イヤホン」や「ワイヤレスイヤホン」「Bluetoothイヤホン」などのキーワードで商品を検索する場合がほとんどです。Googleトレンドで比較した結果、「ワイヤレスイヤホン」が最も検索頻度が高かった場合、広告やSNS投稿の表現も統一することで、消費者に情報が届きやすくなります。
このように消費者の使用頻度の高いキーワードを見つけられれば、より効果的にマーケティング施策を実施できるでしょう。
トレンドに上がりそうなキーワードを調べる
ヒット商品予測をする際にも、Googleトレンドは効果的です。キーワードを過去にさかのぼって分析し、推移を確認することで、今後注目を集めそうな話題を見つけられます。特に、急上昇キーワードは、新たなトレンドの兆しともなるので、チェックしておくと良いでしょう。
また、関連クエリやトピックの急上昇フィルターを使用することでも、上昇傾向にあるキーワードを検索できます。トレンドに上がりそうなキーワードを把握しておけば、ビジネスチャンスを先取りした戦略を立てられるでしょう。
Googleトレンドの見方
Googleトレンドでは、さまざまな使い方ができます。調べたい情報によって、使用する機能が異なるため、それぞれのデータの見方についても理解を深めておきましょう。
1. トレンドを調べる
トレンドを調べるには、トップページの検索ボックスにキーワードを入力し、「調べる」をクリックします。最大5つまでのキーワードを比較できるだけでなく、国や期間・カテゴリーなどを細かく設定できるのも特徴です。
また、トレンドを調べる際は、過去1時間・4時間・1日・7日・30日・90日・5年・2004年から現在までの期間を設定できます。画面下部には関連トピックや関連キーワードも表示されるので、広い視点でのトレンド分析ができるでしょう。
ただし、表示される数値は相対的な値であり、最高値を100とした比較データとなっているので、注意が必要です。
2. 急上昇ワードを調べる
急上昇ワードを調べるには、トップページ上部のメニューから「急上昇ワード」を選択し、「毎日の検索トレンド」か「リアルタイムの検索トレンド」を確認します。それぞれの違いは以下のとおりです。
- 毎日の検索トレンド:その日の注目キーワードと関連記事、検索件数がわかる
- リアルタイムの検索トレンド:過去24時間で急上昇したキーワードを追跡できる
また、急上昇ワードは、国の指定やカテゴリーでの絞り込みも可能です。急上昇ワード機能を活用すれば、最新の検索トレンドも簡単に把握できるでしょう。
3. 過去の急上昇ワードを調べる
過去の急上昇ワードを調べたい場合は、トップページ左上のメニューから「Years in Search:検索で振り返る」を選択することで、前年に急上昇したキーワードをカテゴリー別にランキング形式で確認できます。
画面右上の「年度表示」から過去の年度のデータも閲覧できるため、年代別のトレンド分析にも活用できるでしょう。また、「日本」をクリックすることで、国や地域を変更できるので、全世界や特定の国における急上昇ワードの比較検討もできます。
4. キーワードを指定して最新情報を受け取る
Googleトレンドには、特定のキーワードやトピックに関する最新情報をメールで受け取れる登録機能があります。利用方法は以下のとおりです。
- トップページ左上のメニューから「登録」を選択する
- 画面右下の「+」をクリックして新しい登録を作成する
- 特定ジャンルの情報を集めたい場合は「トピック」を、最新トレンドを知りたい場合は「急上昇ワード」を選択する
- 指定したいキーワードや地域、通知の頻度を設定する
- 「登録」をクリックする
登録機能を設定することによって、ECサイトのターゲットのニーズに合った最新情報を自動的に集められます。
Googleトレンドを使用する際の注意点
時間経過によるトレンドの変化を追跡する必要がある
消費者の関心度合いは、時間経過によって変化する可能性があるので、Googleトレンドで得た情報に変化がないか追跡する必要があります。特に、商品販売まで期間が空いてしまう場合、キーワードを調べたタイミングではトレンドが上昇傾向にあっても、実際に商品を販売する時期に下降している可能性もあります。ただし、トレンドの変化が一時的なこともあるので、時間枠を変更して、一時的な変動か長期的な傾向かを区別して把握する必要もあるでしょう。
トレンドの変化を確認した際に、特定の商品の検索数が減少傾向にある場合、市場トレンドが衰退している可能性があるため、在庫管理や戦略の見直しなどを検討する必要があります。
同一商品の類似する表現のキーワードを比較する必要がある
同一の商品を表すフレーズやキーワードでも消費者に検索されやすいワードが異なる可能性があります。
たとえば、「ファイナンシャルプランナー」と「ファイナンシャルアドバイザー」はどちらも似たような職種を表す言葉ですが、Googleトレンドを活用すれば、使用頻度や人気度の確認が可能です。
また、場所フィルターを使用することによって、地域別の消費者に刺さりやすい表現についても把握できます。Googleトレンドでキーワードを比較し、消費者に使用されやすい表現が見つかれば、SEO対策も効果的に実施できるでしょう。
地域によるトレンドの違いを確かめる
同一の商品でもエリアごとにニーズが異なる場合があるので、Googleトレンドを活用する際は地域別のニーズも把握するようにしましょう。ある地域ではニーズの少ない商品でも、違うエリアでは需要が発生しているケースもあります。そのため、国内のさまざまな地域のトレンドを調べて、商品のメインターゲットを特定しましょう。
トレンドの結果と購入意欲が比例するとは限らない
一般的なキーワードを検索した場合、商品の購入とは関係ないニーズによる結果も含まれるので、検索件数が多くても必ずしも売れるとは限りません。たとえば、「ハイキング」という一般的なキーワードで検索すると、ハイキングの場所を探している人も結果に含まれてしまいます。
しかし、Googleトレンドでは、Googleショッピングを含むEコマースサイトの製品に絞り込んだ検索が可能です。「ハイキング」の検索結果も、Googleショッピングのみに絞り込めば、購入意欲の高い消費者の検索傾向を把握できるでしょう。Eコマースサイトの製品に絞り込むことによって、実際の購買行動に結びつきやすいキーワードを見つけられるため、商品の仕入れや在庫管理、マーケティング戦略の立案に活用できます。
Googleトレンドの商品データを検証する方法
Googleトレンドの検索結果と実際のニーズに乖離がないかを確かめるのも重要です。複数の方法を利用して、より詳細なニーズを把握し、Googleトレンドの検索結果で得た商品アイディアをより具体的にしましょう。
SNSのトレンドを分析する
InstagramやFacebook、TikTokなどのSNSで同様のキーワードや関連キーワードなどを検索することによって、Googleトレンドのデータだけでは見えてこない、詳細な消費者の興味や行動パターンを把握できます。たとえば、キーワードが含まれたハッシュタグの盛り上がりや、キーワードに関連する投稿の急増などから、Googleトレンドの検索結果と実際のトレンドが一致していることがわかるでしょう。
競合他社を調べる
Googleトレンドで得たアイディアと同じ製品やサービスを提供している企業の数や商品内容を調べることで、より具体的な市場のニーズや差別化のヒントを把握できます。競合他社の戦略や強みを理解すれば、自社製品の位置づけを明確にできるため、トレンド商品の中でもニッチ市場へ舵を切るなど、独自の価値を提供しやすくなるでしょう。
ターゲット顧客を調査する
Googleトレンドで検索数の多いキーワードの商品が必ず売れるわけではありません。そのため、ターゲット顧客にインスタストーリーズやSNSでアンケートをとったり、メルマガで顧客を調査したりすることで、実際のニーズを確かめるのが重要です。
ターゲットの生の声を分析すれば、Googleトレンドを調べただけでは見えてこないニーズや課題を明らかにできるでしょう。また、顧客の反応を通して、製品が市場で受け入れられるかを判断することも可能です。
まとめ
Googleトレンドは、消費者の関心やニーズをリアルタイムで分析できる無料ツールです。Googleトレンドを活用することで、ECサイトの運営者は市場のトレンドを即座に把握できるので、効果的に商品を選定したりマーケティング戦略を立てたりできるでしょう。
また、キーワードの時系列での追跡、地域や都市での絞り込み、関連キーワードの確認などもできるため、ニーズが高まっている商品の特定やターゲットエリアの選定、関連トピックの調査も行えます。分析した情報を基に商品展開することで、ECサイトの売り上げ向上にもつなげられるでしょう。
ECサイトの売り上げアップの施策を考えている人は、ぜひこの記事を参考に、Googleトレンドを活用して消費者のニーズに応える商品やサービスを提供してみてください。
よくある質問
Googleトレンドは何ができる?
Googleトレンドでは、特定の用語の検索頻度をリアルタイムで把握したり、期間や地域、カテゴリーを絞り込んで検索ボリュームの推移をグラフ化したりできます。参照できる期間も幅広いため、長期的なトレンドの変化を把握できます。
Googleトレンドの参照可能な期間は?
Googleトレンドでは、過去1時間・4時間・1日・7日・30日・90日・5年・2004年から現在までのさまざまな期間を参照できます。
Googleトレンドで流行の商品を見つけるにはどうすれば良い?
Googleトレンドで流行の商品を見つけるには、キーワード検索時にカテゴリーをショッピングで絞り込みます。そうすることで、購買需要とは関係のないキーワードを除外することができ、流行の商品を効率的に見つけることができます。
文:Kana Fukuzumi